~ アイウェア文化誌 3 ~

愛眼物語

 

アイウェア愛用者のことを、「愛眼者」とも言えるかもしれません。眼鏡を愛する者ですから、「愛眼者」。

ことのついでにダジャレを申しますと、眼鏡は「眼が無え」。愛眼者にとっても眼鏡がないことは、「眼が無え」状態になってしまいます。

以前、「愛眼者」のおひとりだったお方に、團伊玖磨(ダン イクマ)がいます。團伊玖磨は作曲家であり、また随筆家でもあった人物。楽譜を書き、文章を書いたわけですから、眼鏡は必需品でもあったでしょう。

その團伊玖磨が、愛用の眼鏡を壊したことが。これは團伊玖磨著『パイプのけむり』に書いています。その章題は、『板目』になっているのですが。

その話は、1992年1月のこと。團伊玖磨はこの時、ブルガリアのソフィアに居た。もちろん、演奏会のために。

 

演奏会の前に、團伊玖磨はホテルで、仮眠。寝込むつもりはなくて、ほんの仮眠。でも、つい、寝入って。気が付くと、眼鏡をかけたままに、寝た。

と、気付いてみると眼鏡がない。ようやく眼鏡を探し当てると、フレームからレンズが外れていて。

その時の團伊玖磨の眼鏡、ナイロール式で、演奏会に間に合うように、レンズを嵌めようと。

でも、嵌めようとすればするほど、嵌らない。まあ、気が急いでいる時はそんなものでしょう。

で、結局。その日の演奏会は、オペラ座の総裁、ヨシホフさんの眼鏡を借りて、ことなきを得たという。

 

ざっと、そんな内容の話を、團伊玖磨は『パイプのけむり』の中に書いています。

さて、そこで、皆さん。日頃から「セカンド・グラス」を用意しておきましょう。ことに、旅に出かける時には。

 


著者:出石尚三氏  服飾評論家

1944年12月16日生まれ。

1964年。ファッション・デザイナー、小林秀夫に弟子入り。

その後、1970年から、ファッション・ライター。

1980年代。「エル・ジャポン」編集長を経て、服飾評論家となる。

 


 

今年のゴールデンウィークは10連休。

今まで頑張った自分へのご褒美にご旅行へ行かれる方も多いのではないでしょうか。

 

そんな皆様へお願いしたいことが「セカンド・グラス」を常備する事。

当店のお客様でも良く聞くお話は海外先でメガネをなくした、壊してしまい対応先がなくて困ったという声。

応急処置として購入した眼鏡はやはりその場しのぎで終わってしまう、なんとももったいない出費。

 

人間には「五感」というものがありますが、約8割情報を得るのに日々使っているものが「視感」です。

あまり意識されることがないと思いますが、

視力もファッションも補う眼鏡は必ずセカンドグラスをもって、安心してご旅行を楽しまれて頂けたらと思います(*^^*)

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